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研究
増悪型頭部外傷の検討
著者: 沢内聡1 田屋圭介1 橋本卓雄1 石井卓也2 大塚俊宏2 諸岡暁2 結城研司2 高尾洋之3 村上成之3 阿部俊昭3
所属機関: 1東京慈恵会医科大学柏病院脳神経外科 2富士市立中央病院脳神経外科 3東京慈恵会医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.749 - P.755
文献購入ページに移動頭部外傷後に時間の経過とともに意識状態が悪化する,あるいは頭蓋内血腫が増大するという病態は,古くから注目され,CT以前の時代には荒木の頭部外傷分類第IV型1),CT出現後は遅発性頭蓋内血腫2,6,11,12,14),Talk and Deteriorate3-5,7-9,13,15,16)などと呼称されてきた.これらの病態では,受傷後早期の意識状態は比較的良好であることより,GCS8以下の重症頭部外傷症例に比較し,受傷時の外力による一次性脳損傷は軽微であると推測される.それにもかかわらず,その死亡率は高率であり,発生を予測あるいは回避できる要因があるのか否か興味深い.
われわれは,頭部外傷後,来院時GlasgowComa Scale(GCS)9以上であったにもかかわらず,その後に頭蓋内病変に起因して意識障害が進行した症例を増悪型頭部外傷とし,その病態の解析を行った.
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