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症例
頭部回転によって生じた難治性めまいの2症例—椎骨動脈起始部の屈曲方向との関連
著者: 小久保安昭1 嘉山孝正1 池田俊一郎2
所属機関: 1山形大学医学部脳神経外科 2池田脳神経外科
ページ範囲:P.781 - P.786
文献購入ページに移動椎骨脳底動脈循環不全の原因としては椎骨動脈の動脈硬化性病変が多く,その中でも起始部病変が高頻度である6).これらの疾患のうち器質的病変のある椎骨動脈起始部(V1 segment)の狭窄,閉塞に対する外科治療はtransposition of V1 seg-ment to subclavian artery7),V1 segment to com-mon carotid artervやconmon carotid artery to V1segment bypass graft1)等の方法が確立されている.一方,頭部回転時のみ椎骨動脈の狭窄が生じ,椎骨脳底動脈循環不全症状を呈する機能的病態が原因であるものがある.すなわち,変形性頸椎症に伴う骨棘,筋,腱組織による圧迫などが原因となる疾患である2,3,5,9).これらのうち,椎骨動脈起始部については星状神経節線維による機械的圧迫によって血管が固定され,頭部回転時に強い屈曲が生じ血管を狭窄あるいは閉塞してしまうことが原因4,6)であることが多い.今回われわれは,頭部回転によって増悪した椎骨動脈起始部屈曲に対し星状神経節線維切除による屈曲矯正を行い,椎骨脳底動脈循環不全が改善した2症例を経験した.本2症例をもとに頭部回転方向と椎骨動脈起始部の屈曲方向との関連性について検討したので報告する.
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