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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科31巻7号

2003年07月発行

文献概要

連載 脳外科医に必要な臨床神経生理の基礎・1【新連載】

硬膜下電極刺激による脳機能マッピング

著者: 星田徹1 榊寿右2

所属機関: 1奈良県立奈良病院救命救急センター 2奈良県立医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.811 - P.819

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I.脳機能マッピングの目的
 脳機能マッピングは,覚醒下もしくは全身麻酔下での術中マッピングと,硬膜下電極を用いて病室で行う慢性頭蓋内マッピングとに分かれる3,5,6).前者は手術操作が1回で済むという大きな利点を有する反面,手術中という時間の制眼が大きくて十分な検索ができないまま手術を行うことになる.ここでは後者の慢性的な硬膜下電極刺激による脳機能マッピングについて述べる.
 患者個人の脳機能を知ることが,病態の解明と手術治療戦略を考えるうえで重要である.これは術後の神経症状を最小限にして,てんかん焦点や脳腫瘍などの病変を最大限に摘出することにつながる.重要な脳機能部位としてOjemannらは,手の運動野と言語野であると述べている10).古典的な言語野であるBroca野やWernicke野は,患者個人により異なっている.側頭葉先端部の切除では機能障害が生じないとされていたが,最近では固有名詞の障害や,人物に関しての新しい学習ができなくなることが報告されている10,13)(Fig.1).さらに病態によっては,機能部位の偏位や移動が生じている12).術前に脳機能マッピングを行うことにより個々の脳機能部位を同定し,患者の症状・病態・部位を考慮して,手術アプローチや切除範囲の決定などに役立てることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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