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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科31巻8号

2003年08月発行

文献概要

総説

脳幹部海綿状血管腫の外科治療

著者: 宮澤隆仁1

所属機関: 1防衛医科大学校脳神経外科 2

ページ範囲:P.851 - P.866

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Ⅰ.はじめに
 近年のMRIの発展と普及の結果,脳海綿状血管腫(cavernous malformation;以下CM)の診断率は急速に向上している.その中でも脳幹部海綿状血管腫(brainstem cavernous malformation;以下BCM)は,解剖学的理由により少量の出血でも神経症状を発現しやすく,また出血率および再出血率が他の部位のCMに比較して高いことより,臨床的にテント上CMとは別に扱う必要がある4,12,26,36,50,71,82,83,91,123,125)
 脳神経外科学創世紀の頃,脳幹部はno-man'slandと言われ,手術禁忌とされた部位であり,現在でもその手術は挑戦的かつ困難である.1928年DandyによりBCMの手術成功例が世界で初めて報告され25),その後約200例のBCM手術例が報告された.本邦では,1983年黒岩ら54)が邦文論文を,1986年Yoshimoto and Suzuki124)が英文論文をそれぞれ報告している.その後,1990年代にBCMの高い再出血率を示したうえで,積極的手術を勧める臨床研究論文が相次いで発表されたが7,12,20,30,35,60,67,71,82,83,91,96,103),BCMの自然歴と手術適応についてはいまだ議論が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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