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研究
脳神経外科領域における静脈血栓塞栓症
著者: 松重俊憲12 木矢克造1 佐藤秀樹1 溝上達也1 香川幸太1 荒木勇人1
所属機関: 1県立広島病院脳神経外科 2島根県立中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.885 - P.889
文献購入ページに移動肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:以下PTE)および深部静脈血栓症(deep venousthrombosis:以下DVT)は近年増加傾向にあるといわれるものの,その実態は未だ不明である.アメリカでの発症頻度が100万人対270人〜400人であるのに対して,本邦では100万人対28人と比較的稀な疾患と考えられており6),認識が低いことがひとつの要因であろう.一方で,本邦の死亡診断書におけるPTEによる年間死亡数は1,700人とされ,ここ10年間で約3倍に増加している7).近年の疾病構造の欧米化に伴い,PTEおよびDVTは今後,重篤な合併症として増加することも予想され注意を払う必要がある.今回,われわれは脳神経外科領域でのPTEおよびDVTの特徴を明らかとするため,過去6年に経験した8症例について臨床的検討し,文献的考察を加え報告する.
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