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連載 脳外科医に必要な臨床神経生理の基礎・2
経皮磁気刺激による脳機能マッピング
著者: 藤木稔1 古林秀則1 上田徹1
所属機関: 1大分医科大学脳神経外科学教室
ページ範囲:P.933 - P.937
文献購入ページに移動経皮磁気刺激あるいは経頭蓋磁気刺激(Tran-scranial magnetic stimulation;TMS)は,非侵襲的に大脳運動野を刺激すべく1985年Barker ATにより開発された.TMSの重要性は,覚醒したヒトの脳を非侵襲的に刺激し形態的情報(運動野の経頭蓋的同定)を得るにとどまらず,これに機能的情報を加味した議論を付加できる点にある.これは運動誘発電位(motor evoked potential;MEP)の概念が導入されたために他ならない4,7).
ところが開発当初は円形コイルによる広範囲な刺激のみが可能であったことが災いして脳機能のマッピングへの応用は8の字型コイルによる局所刺激が可能になってからのことである.それでも本法が脳機能マッピングのカテゴリーに入りにくかったのは,脳から記録される反応を記録部位にマップするのではなく,脳を刺激して得られる筋反応(MEP)を頭皮上にマップするという半ば強引な手法を用いざるを得なかったからといえよう.
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