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連載 脳外科医に必要な臨床神経生理の基礎・3
誘発電位・誘発磁界による脳機能マッピング
著者: 中里信和12 菅野彰剛2 社本博1 隈部俊宏3 冨永悌二3
所属機関: 1広南病院脳神経外科 2広南病院東北療護センター 3東北大学大学院神経外科学講座
ページ範囲:P.1030 - P.1037
文献購入ページに移動脳の機能局在は,疾患の治療戦略を決めるうえで知っておくべき重要項目のひとつである.脳溝・脳回の解剖構造のみから機能局在を推定する方法も有用であるが,機能局在の個人差や病変や疾患による機能局在の可塑性に対応できない場合もある.脳機能マッピングの手法として近年注目されているPETや機能的MRIは,代謝や血流の変化から脳機能を読み取る画像検査法であるが,脳の電気活動そのものではなく,それによって引き起こされる二次的変化を観察する検査法である.しかもPETや機能的MRIには時間的な解像度の限界があるために,賦活された多部位の信号領域のそれぞれが,目的とする脳機能にどの程度特異的かという点で,今後検討すべき課題が多い。一方,電気生理学的検査法は半世紀前から用いられている手法であるが,神経活動に伴う電気活動そのものを観察,あるいは神経組織を直接に刺激して反応を調べられるために,機能情報の特異性が極めて高く,さらにミリ秒単位の高い時間分解能が得られる.これまでは十分な空間解像度を得るために頭蓋内に直接電極を留置しなければならないという欠点があったが,最近,磁気を用いた新しい神経生理検査が登場したことによって,非接触・非侵襲的でも高い空間分解能が期待できるようになった.
電磁気生理学的な脳機能マッピング手法をTableにまとめた.
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