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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科32巻1号

2004年01月発行

文献概要

症例

Pial single-channel cerebral AVFの1例

著者: 大宅宗一1 茂野卓1 熊井潤一郎1 松井雅樹1

所属機関: 1関東労災病院脳神経外科

ページ範囲:P.67 - P.72

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 Ⅰ.はじめに

Cerebral arteriovenous fistula(AVF)とは,頭蓋内の動脈と静脈の間においてcapillary networkやtrue nidusが介在せず,fistulaという異常交通を持つ病態である.AVMとは異なるものとして比較的最近認識されてきたばかりで,その自然歴および適切な治療に関しては確立されておらず5,14),その発症頻度は非常に低いとされている.硬膜内にfistulaを持ち,硬膜に分布する主に外頸動脈系の動脈を流入動脈とするdural AVFとは異なり,cerebral AVFは内頸動脈系の脳実質を灌流する動脈を流入動脈とする,脳静脈とのfistulaである.小児に多いことも指摘されており,ガレン大静脈瘤との関連が最も知られている16).またRendu-Osler-Weber病2,3,6),Klippel-Trenaunay-Weber病10),Ehlers-Danlos症候群11),Neurofibromatosis type 17)などとの関連もいわれている.原因としてcongenitalあるいはtraumaticな因子が検討されているが未だはっきりしない1)

 このcerebral AVFのうち1本ないし複数本のpial,あるいはcortical arteryを流入動脈とし,1本の静脈を流出静脈とするものをpial single-channel AVFという4,5).拡張したperimedullary veinを認めることが多いといわれている.脳動静脈奇形に占めるpial single-channel AVFの割合は非常に低く,1.6%との報告がある4).しかし頭蓋内出血を来した場合には重篤な症状を呈することが多く,63%が死亡したとの報告がある8)

 今回われわれは,60歳男性に小脳出血にて発症したpial single-channel AVFを経験し手術加療を行った.このpial single-channel AVFが中でも後頭蓋窩に発生することは極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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