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総説
腰仙部脊髄脂肪腫
著者: 新井一1
所属機関: 1順天堂大学脳神経外科
ページ範囲:P.1019 - P.1026
文献購入ページに移動 Ⅰ.はじめに
脊髄脂肪腫は二分脊椎に合併し,主として腰仙部に発生するものと,脊椎奇形を伴わずに主として胸髄軟膜下に発生するものとに大別される.前者は臨床上,脊髄係留症候群を呈することが知られており,いわゆる潜在性二分脊椎症として包括される一連の疾患群のなかで最も頻度の高いものである.この腰仙部脊髄脂肪腫は出生4,000に対して1例程度発生するとされているが4,28),その正確な発生頻度は不明である.腰仙部脊髄脂肪腫の発生メカニズムは完全に解明されているとはいえないが,中胚葉由来の脂肪組織が神経外胚葉に癒合することによって病態が成立することから,primary neurulationからsecondary neurulationに至るいずれかの時点で発生するものと考えられている.本稿では,腰仙部脊髄脂肪腫の発生,症状発現の機序さらには診断と治療について,筆者の経験をもとに文献的考察を交えて解説する.
脊髄脂肪腫は二分脊椎に合併し,主として腰仙部に発生するものと,脊椎奇形を伴わずに主として胸髄軟膜下に発生するものとに大別される.前者は臨床上,脊髄係留症候群を呈することが知られており,いわゆる潜在性二分脊椎症として包括される一連の疾患群のなかで最も頻度の高いものである.この腰仙部脊髄脂肪腫は出生4,000に対して1例程度発生するとされているが4,28),その正確な発生頻度は不明である.腰仙部脊髄脂肪腫の発生メカニズムは完全に解明されているとはいえないが,中胚葉由来の脂肪組織が神経外胚葉に癒合することによって病態が成立することから,primary neurulationからsecondary neurulationに至るいずれかの時点で発生するものと考えられている.本稿では,腰仙部脊髄脂肪腫の発生,症状発現の機序さらには診断と治療について,筆者の経験をもとに文献的考察を交えて解説する.
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