文献詳細
文献概要
研究
201Tl-chlorideと99mTc-MIBIの2核種同時収集法を用いた脳腫瘍診断の意義
著者: 永井秀政1 山崎俊樹1 山本佳昭1 高田大慶1 宮嵜健史1 杉本圭司1 松本吉史1 秋山恭彦1 森竹浩三1
所属機関: 1島根大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.1029 - P.1037
文献購入ページに移動ニューロイメージングの発展により脳腫瘍の局在診断はほぼ達成され,無症状で偶然発見される脳腫瘍が増加している.脳腫瘍の治療方針の決定には,生検もしくは手術標本での病理診断に基づいた治療が基本である.しかし生検では腫瘍組織の一部しか採取されないため,その組織診断には限界がある.また組織診断を目的とした手術は高齢者や小児にとって危険性が高く,重要な神経構造の近傍では診断で得られる利益よりもリスクが高い場合もある.
近年,MRS(magnetic resonance spectrography)やPET(positoron emission tomography),SPECT(single photon emission computed tomography)などの非侵襲的検査の進歩がめざましいが,現時点では脳腫瘍の質的診断としてはSPECTが普及し一般的である.SPECTは特異性や感度,分解能などに改善の余地があるものの,核種の開発とともにその有用性が期待されている.SPECTの核種にはThallium(201Tl),Gallium(69Ga),123I-IMP(N-Isopropyl-p-[123I]-Iodoamphetamine)などがあるが,なかでも心筋血流シンチグラフィーによる心臓疾患診断薬として開発された201Tl-chlorideと99mTc-MIBI(2-methoxy isobutyl isonitrile)は脳腫瘍の質的診断に応用されている1,3,10).この2核種の集積には若干の違いがあり,収集エネルギーの違いから2核種同時収集で画像を比較することで新知見を得られる可能性がある7,15).
今回,われわれは201Tl-chloride(Tl)と99mTc-MIBI(MIBI)の2核種同時収集法による脳腫瘍イメージングで若干の成果を得たので,脳腫瘍におけるsimultaneous dual isotope SPECTの意義を報告する.
掲載誌情報