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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科32巻10号

2004年10月発行

文献概要

症例

片頭痛の評価にMR angiography, diffusion weighted imageが有用であった1例

著者: 柳川洋一1 加藤裕2 吉川哲夫3 阪本敏久1 岡田芳明1

所属機関: 1防衛医科大学校病院救急部 2防衛医科大学校脳神経外科 3吉川病院

ページ範囲:P.1059 - P.1062

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 Ⅰ.はじめに

 片頭痛発作は頭痛を中心として複雑な症状が連続または随伴して認められ,再発性あるいは周期性に出現するのを特徴としている6).片頭痛の病態には,血管説,神経説,セロトニン説,三叉神経血管説があり,三叉神経血管説が現在最も支持されている12).血管説は血管が収縮することにより前兆期が生じ,引き続く血管拡張により拍動性頭痛を説明するもの,神経説は神経細胞の興奮抑制が伝播し,脳浮腫を随伴していくspreading depressionで片頭痛の前兆を説明し,血管径もしくは血流の変化はこれに附随したものと考える説,セロトニン説は,セロトニンの過不足が血管の収縮,拡張に関与すると考えるもの,三叉神経血管説は,三叉神経への刺激が血管の拡張と神経原性炎症を引き起こし,頭痛につながると考える説である.いずれの説も原因,結果は別として脳血管径の変化が片頭痛の病態に関与していることは支持している7,12).しかし,実際に片頭痛の患者で脳血管径の変化を画像上捉えた報告は多くなく,本邦では渉猟し得た範囲では,2報告のみであった5,10)

 以前は脳血管径を把握するためには,侵襲的な脳血管造影検査が必要であったが,近年,3 dimensional(3D)CT angiographyやMR angiography(MRA)による非侵襲的検査が開発された.このMRAを用いて,片頭痛症例の血管径の変化を捉え,diffusion weighted image(DWI)により信号変化を観察できた症例をわれわれは経験し,片頭痛の診断,病態把握にこれらの検査は有用と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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