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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科32巻11号

2004年11月発行

文献概要

症例

マルチスライスCT撮影による虚像として脳の中心部に微小出血様の変化が出現した頭部外傷の1例

著者: 柳川洋一1 阪本敏久1 岡田芳明1

所属機関: 1防衛医科大学校病院救急部

ページ範囲:P.1145 - P.1148

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 Ⅰ.はじめに

頭部外傷の画像診断には,高速撮影が可能で,患者監視装置が体幹部に装着されていても撮影上影響を与えない頭部CT撮影が欠かせないものとなっている.最近の頭部CT撮影機器の進歩は著しく,マルチスライスもしくは multiple detector helical CTの出現により,細かなスライス幅でより鮮明な画像が瞬時に撮影可能となっている.

 頭部外傷のCT撮影から得られる情報としては,脳挫傷を含めた出血性病変,主病変に伴う浮腫,2次性の虚血性病変,気脳症の評価,骨折や異物の有無などが主たるものである1).頭部外傷の中でも,軸索損傷の診断は頭部CTでは簡単ではないが,脳深部白質を主体とした微小出血が散在することがCT上の診断基準となっている2,4)

 頭部CTは頭部外傷患者の画像診断に欠かせぬものとなってきている.しかし,頭部CTで人体には存在しない虚像が画面上構成されることがあり,これはartifactとして知られているが,画像診断上正しく評価しないと誤診につながってしまう.今回,マルチスライスCTで,検出器の故障により脳の中心部付近に淡いhigh density areaが出現したため,微小出血と誤認したが,後日artifactと確認できた症例を経験した.このartifactの存在を認識していないと,誤診する可能性があり,今後の参考のためにここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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