文献詳細
文献概要
総説
脳神経外科疾患の責任遺伝子解析の概説
著者: 小泉昭夫1 山田茂樹12 宇都宮真木1 井上佳代子1 野崎和彦2 竹中勝信3 岩間亨4 鈴木倫保5 野村貞宏5 依藤純子1 山川弘保6 阿部雅光7 田渕和雄7 松田昌之8 橋本信夫2
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野 2京都大学大学院医学研究科脳神経外科分野 3高山赤十字病院脳神経外科 4岐阜大学医学部脳神経外科 5山口大学医学部脳神経外科学 6岐阜県立下呂温泉病院脳神経外科 7佐賀大学医学部脳神経外科学 8滋賀医科大学医学部脳神経外科学
ページ範囲:P.1203 - P.1213
文献購入ページに移動Human genome project の2000年6月の終了によりヒトのゲノム情報が明らかにされるにつれ,多くの疾患の遺伝的原因も明らかにされた.遺伝子病や癌などの遺伝子の変異により生じる疾患は4,300種以上報告されており,現在特定染色体にマップされたものは約1,400種,原因遺伝子の同定および変異の実体まで明らかにされたものは約800種存在する.
Table 1に示すように,cavernous angioma は現在まで3つ以上の遺伝子座(CCM16),CCM23),CCM37))が知られており前者については遺伝子も明らかにされている.また,moyamoyaについては,原因遺伝子は不明ながら3つ以上の遺伝子座が報告されている13,14,27,33).脳動脈瘤については,複数の領域が報告されている23,24,34).非全身性の脳に限局する動静脈奇形については,家族性の発症が知られており遺伝的感受性要因(MIM : 108010)の存在が想定されている.そのほかCADASIL (cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infaction and leukoenceph alopathy)1-13)が知られている.ここでは,主として脳に特異的な脳外科疾患群のうち上記に挙げたCADASIL以外の脳血管性疾患について述べる.
掲載誌情報