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症例
ヘルメットの紐による縊頸が原因と思われる外傷性頸部内頸動脈解離の1例
著者: 土居温1 出口潤1 山田誠1 島野裕史1 長尾光史2 新井基弘2 黒岩敏彦1
所属機関: 1大阪医科大学脳神経外科 2祐生会みどりヶ丘病院
ページ範囲:P.1279 - P.1282
文献購入ページに移動外傷性頸動脈解離は比較的稀な病態ではあるが,頸部の過伸展や鈍的外傷により生じることはよく知られている.一方,自動二輪車乗車時のヘルメット着用は頭部外傷に対する予防効果があるとされており2,3),わが国でも義務づけられている.ヘルメットの規格はJIS (T8133-1982)により定められており,どのヘルメットも衝撃吸収性や耐貫通性についての条件を満たさなければならない.ヘルメットには頭部顔面全体を覆い下顎骨で固定するタイプのものと,頭部だけを覆い頸部で固定するタイプ(Fig. 1)がある.どちらのタイプも転倒時に頭部を保護する効果があるが,ヘルメットをどう固定するかの規定はなく頸部への影響は考慮されていない.今回われわれは後者のタイプのヘルメットの紐により,転倒時に縊頚を生じて外傷性頸動脈解離を生じたと思われる症例を経験したので報告する.
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