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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科32巻2号

2004年02月発行

文献概要

総説

脳神経外科におけるリスクマネジメント―脳神経外科は安全か?

著者: 宝金清博1 南田善弘1 野中雅1 三上毅1 小柳泉1

所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.111 - P.119

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Ⅰ.はじめに

米国において,脳神経外科は専門性の最も高い科の1つである一方,医療事故の最も多い科であることが知られている.医療事故に関する最も大きな研究の1つであるHarvard Medical Practice Studyの報告でも,脳神経外科は,血管外科,心臓血管外科と並んで,医療事故比率の点ではワースト3に入る専門科である1-3,8-10,13,14).これは,米国の報告であるが,本邦においては,脳神経外科におけるリスク発生に関するエビデンスに基づいたデータはまだない10)

 リスクマネジメントの目的は,一般には組織を危機から守り,組織が受ける被害を最小限に食い止めることとされている.しかし,医療におけるリスクマネジメントの意義は,これに加えて医療の質を確保すること(quality assurance)にある.あまり強調されていないことであるが,医療におけるリスクマネジメントは,その取り組み方次第によっては,治療成績向上のための有力なツールとみることもできる7,9,10)

 筆者はリスクマネジメントの専門家ではない.しかし,現在,医療の領域で,専門的な実務経験を有するリスクマネジャーはほとんど皆無であろうと思われる.しかも,それぞれの専門科における固有の問題は,一般的なリスクマネジメントの理論だけでは解決できないものである.脳神経外科におけるインシデンスの解析とリスクマネジメントは,脳神経外科医自身の責任においてなされる必要があり,他に依存することのできない問題である.本論文では,札幌医科大学脳神経外科における最近のデータに基づいて,インシデンスを解析し,脳神経外科がリスクの高い専門科であるかどうかを明らかにしたい.そのうえで,治療成績の向上のためにいかにリスクマネジメントを利用するべきかを考察する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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