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研究
破裂動脈瘤と未破裂動脈瘤を合併する多発性脳動脈瘤―破裂部位とsizeから破裂率の検討
著者: 奥山徹1 笹森由美子1 高橋八三郎1 福山浩一2 齋藤孝次3
所属機関: 1高橋脳神経外科病院脳神経外科 2高橋脳神経外科病院放射線科 3釧路脳神経外科病院脳神経外科
ページ範囲:P.121 - P.125
文献購入ページに移動未破裂動脈瘤を合併する破裂動脈瘤症例では,しばしば破裂部位の特定が困難な場合がある.動脈瘤は,一般にsizeの大きなもの,blebをもつもの,前交通動脈に存在するものが破裂しやすいと言われ5),多発性動脈瘤では,くも膜下出血の所見や合併する脳内出血の部位を考慮して破裂部位を推測している.しかし,くも膜下出血が脳槽に広範にある場合や発症から時間が経過し,くも膜下出血が薄くなっているもの,動脈瘤が近接して複数存在しているものは必ずしも破裂動脈瘤の特定が容易でなく,手術中の所見から破裂した動脈瘤が診断されている.多発性動脈瘤では,術前に破裂動脈瘤部位を推定することによって,手術の安全性の向上と手術時間の短縮につながると考えられ,破裂部位を術前に診断することは非常に重要なことと考えられる.
今回,われわれは,未破裂動脈瘤と破裂動脈瘤を合併する多発性動脈瘤症例について破裂部位とsizeについて検討した.さらに,これらの動脈瘤では同じ脳内の環境下にあって破裂するものと破裂しないものがあることから,動脈瘤の部位あるいはsizeによって破裂率が異なる可能性が推測された.そこで,破裂動脈瘤と未破裂動脈瘤のsizeと破裂部位に注目し,それぞれを比較することによって,動脈瘤の部位とsizeによる破裂率を検討した.
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