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研究
脳腫瘍に合併したカリニ肺炎に関する検討
著者: 宇塚岳夫1 高橋英明1 田中隆一1 西堀武明2 塚田弘樹2 下条文武2
所属機関: 1新潟大学脳研究所脳神経外科 2新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻内部環境医学講座
ページ範囲:P.127 - P.133
文献購入ページに移動脳腫瘍の治療において,併存する脳浮腫に対し経口ステロイド剤が投与される症例は少なくない.しかしながら,長期ステロイド剤投与の合併症であるカリニ肺炎についてはあまり知られていない.脳腫瘍に対するステロイド投与に合併したカリニ肺炎については,海外ではこれまでにいくつか報告されているが4,12,14),本邦での詳細な報告はなく,その特徴や危険因子についてもあまり知られていない.
Pneumocystis cariniiはヒトの肺に常在する病原体で,真菌に近いと考えられている.細胞性免疫の低下した状態において間質性肺炎を来し,特に免疫抑制剤治療中の患者やacquired immunodeficiency syndrome(AIDS)においては最も重要な日和見感染症の一つである.
われわれは1994年から2002年の9年間に当科で経験した12例の脳腫瘍に合併したカリニ肺炎の症例を経験したので,その特徴,危険因子について検討した.
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