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鎖骨下動脈,腕頭動脈の動脈硬化性狭窄・閉塞病変に対するステント留置術の成績と治療戦略―親カテーテルの安定性と椎骨動脈のdistal protection
著者: 原田啓1 中原一郎1 田中正人1 岩室康司1 渡邉芳彦1 藤本基秋1
所属機関: 1社会保険小倉記念病院脳神経外科
ページ範囲:P.151 - P.158
文献購入ページに移動鎖骨下動脈,腕頭動脈の狭窄・閉塞病変に対する血管内治療を用いたステント留置術は低侵襲性の有効な治療法として確立しつつあり1,3-8,10,14),周術期のmorbidityは3%(0~5%の報告例)1-3,10),mortalityは0.5%以下(0~0.9%の報告例)1,3,10),長期的なフォローアップによる鎖骨下動脈病変に対するステント留置術後の再狭窄率は5~10%1,3,10)という見解である.
鎖骨下動脈,腕頭動脈狭窄/閉塞性病変に対するステント留置術では大動脈から分岐直後に狭窄病変が位置し,また,椎骨動脈が分岐するという解剖学的特性から親カテーテルの安定性と椎骨動脈への塞栓が問題となることがある.鎖骨下動脈にステント留置する場合,特に鎖骨下動脈が大動脈分岐直後で狭窄病変がみられる症例で親カテーテルの安定性が得られずステント留置過程で苦慮する症例がある.また,椎骨動脈へのdistal embolismが起こった場合,重篤な神経症状に至る可能性は高く,術前の血管造影で椎骨動脈の順行性血流がみられずsubclavian steal phenomenon(以下SSP)を示す症例においてもステント留置の過程で病変部の拡張が得られた後,SSPを示していた患側椎骨動脈が順行性に流れ出すことがあり,椎骨動脈へのdistal embolismの可能性がある9,13).
当科で施行した鎖骨下動脈狭窄・閉塞病変14症例の治療成績と,その代表症例を呈示し,親カテーテルの安定性と椎骨動脈のdistal protectionを中心に治療戦略について検討したので報告する.
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