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研究
3次元MR脳槽画像による未破裂脳動脈瘤外壁形態と瘤周囲環境の画像評価
著者: 佐藤透1 浴野千菜美1 大迫知香1 勝間田篤2 小野田恵介2 土本正治2 柚木正敏3 徳永浩司3 杉生憲志3 伊達勲3
所属機関: 1(医療法人社団)涼風会佐藤脳神経外科脳神経外科 2尾道市立市民病院脳神経外科 3岡山大学大学院脳神経外科
ページ範囲:P.215 - P.221
文献購入ページに移動脳動脈瘤の発生,成長,破裂に至るメカニズムは,これまで脳動脈瘤の大きさやbleb形成などの形態学的要素1,27,28),脳動脈瘤内の血流パターンやshear stressなどの流体力学的要素3,9,22,24,26),脳動脈瘤壁の弾力性や脆弱性などの病理学的要素6,8)など,主として脳動脈瘤血管構築および瘤内環境について報告されてきた.近年,脳動脈瘤外壁とこれに接触,癒着する脳実質や脳神経など脳動脈瘤周囲構造物との解剖学的関係が,脳動脈瘤の瘤外・瘤周囲環境(perianeurymal environment)として臨床的に検討され,特に脳動脈瘤の破裂や脳神経症状の発症に関わる要因の1つとして関心がもたれる14,17).
T2-weighted three-dimensional(3D)fast spin-echo(FSE)sequence(heavy T2-weighted imaging)などで得られるMR脳槽画像(MR cisternogram,MRC)では,信号雑音比が良好で微細な断層情報(volume data)が得られ,脳槽内脳脊髄液は高信号強度で,脳動脈瘤や親動脈,脳表静脈・架橋静脈,脳神経などの脳槽内構造物や脳実質,硬膜・頭蓋底骨構造は低信号強度で描出される7,10-13,15,16).これにより,MRCでは,脳動脈瘤の外壁は脳脊髄液と明瞭に境界され,脳槽内陰影欠損像として,周囲脳実質,脳表静脈,脳神経構造物などの瘤外・瘤周囲環境とともに表示可能となる.
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