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研究
24年間にわたる鈍的外傷性院外心肺機能停止症例の治療経験--頭部外傷対非頭部外傷
著者: 柳川洋一1 齋藤大蔵1 高須朗1 金子直之1 阪本敏久1 岡田芳明1
所属機関: 1防衛医科大学校病院救急部
ページ範囲:P.231 - P.235
文献購入ページに移動鈍的外傷による院外心肺機能停止症例(out-of-hospital cardiopulmonary arrest ; oh-CPA)の転帰は非常に不良である5,7,8,17,19,20).その二大死亡原因は頭部外傷と胸部外傷である4,10).特に小児では頭部外傷が死因となりやすい5).頭部外傷で死亡する理由として,一次性,もしくは二次性脳幹損傷による呼吸停止,意識障害による窒息,損傷部位からの大量出血,稀に頭部外傷に誘発される不整脈がある19).致死的頭部外傷に合併する神経原性肺水腫も報告されているが,これによる呼吸不全がどこまで死因に影響しているかは定かでない13).また,体幹部,四肢損傷も呼吸,循環に影響を与える場合,致命傷となり得る.しかし,頭部外傷を受傷した者と,頭部外傷を受傷していない者とで,転帰を含めた臨床像に差があるのか否かも現時点では明らかにされていない.
防衛医科大学校病院救急部では,開設以来20年以上にわたり,鈍的外傷性oh-CPA症例に対しても,積極的な心肺蘇生術(cardiopulmonary resuscitation ; CPR)を施行し,また,受傷機転や病院前救護の情報も収集してきた.そこで,それらの症例に関して,頭部外傷の有無が臨床像の違いに現れるか後視的に検討を行ったので,その結果を報告する.
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