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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科32巻4号

2004年04月発行

文献概要

連載 定位脳手術入門(5)

視床手術(破壊術)

著者: 松井利浩1 富田享1 大本堯史2

所属機関: 1岡山大学大学院医歯学総合研究科神経病態外科学 2岡山労災病院脳神経外科

ページ範囲:P.403 - P.410

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 Ⅰ.手術の歴史的背景と理論

パーキンソン病に対する外科的治療は,1930年代後半のMeyersによるレンズ核ワナ(ansa lenticularis)切截(open ansotomy)に始まる.Spiegel & Wycisはこのansotomyを定位的に行い,振戦を治療した.この頃,日本においても楢林博太郎らによって定位的にpallidotomyが行われ,pallidotomyは振戦よりも固縮に対する効果が著しいと報告された12).パーキンソン病に対する視床外側腹側核(VL核:nucleus ventralis lateralis)の破壊術は,1951年にHasslerらによって始められた5).その後HasslerらやCooperらにより,視床外側腹側核は振戦と固縮に対して最も有効な目標点とされた.

 1967年のL‐ドパの出現により,パーキンソン病に対する定位脳手術件数は世界的に激減した.しかしながら,L‐ドパの長期投与に伴う問題(薬剤誘発性ジスキネジア,on-off現象,wearing off現象)が出現したため,1992年のLaitinenらの後腹側淡蒼球手術の無動,寡動,歩行障害に対する改善効果の報告により定位脳手術がパーキンソン病の治療として再び脚光を浴びることとなった9).また,近年は脳深部刺激療法が安全性や調節性を備えた治療として登場し,ますますパーキンソン病の外科的治療への期待は高まっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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