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研究
ノカルジア脳膿瘍:外科治療と術後抗菌剤併用の有用性
著者: 米山智子1 山上岩男1 峯清一郎1 佐伯直勝1 山浦晶1 尾崎裕昭2 中崎将3
所属機関: 1千葉大学医学研究院神経統御学(脳神経外科) 2千葉医療センター脳神経外科 3千葉県済生会習志野病院脳神経外科
ページ範囲:P.457 - P.462
文献購入ページに移動ノカルジア(Nocardia)はおもに土中に常在する放線菌類で,膠原病,糖尿病,慢性閉塞性肺疾患などの基礎疾患を持つ患者や,副腎皮質ホルモン,免疫抑制剤,抗癌剤などを投与されている患者,成人免疫不全症候群などの免疫低下状態における日和見感染症として増加傾向にある4,11).通常,肺ノカルジア症を発症し,そのうち20~30%が中枢神経系に血行性転移を来すが,中枢神経系原発のノカルジア症も報告されている.中枢神経系ノカルジア症の多くは脳膿瘍の形態をとる3,15,16).ノカルジア脳膿瘍は一般の抗生剤治療に抵抗性であることが多く,他の細菌性脳膿瘍と比べて死亡率が高い7,15,20,26).診断・治療の進歩により転帰は改善しつつあるが,死亡率は30%に達する5).最近われわれは排膿ドレナージ・被膜外摘出を含めた外科治療と術後に比較的短期間の抗菌剤投与を組み合わせることで良好な結果を得ている.われわれの経験したノカルジア脳膿瘍4例を報告し,外科治療と術後抗菌剤併用の有用性について検討する.
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