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症例
脳血管攣縮に対する塩酸ファスジル動注療法中に痙攣を起こした1例
著者: 佐々原渉1 小野成紀1 徳永浩司1 杉生憲志1 中嶋裕之1 伊達勲1 大本堯史1
所属機関: 1岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.487 - P.491
文献購入ページに移動塩酸ファスジル(fasudil hydrochloride ; 以下FSD)静注療法は,破裂脳動脈瘤術後の脳血管攣縮予防に対する有効性が報告され,広く使用されるようになってきている9,10,14,18).また,症候性の脳血管攣縮に対しては,塩酸パパベリン動注療法6,7)や経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty ; PTA)14,19)が行われている.しかし,塩酸パパベリン動注療法の効果は一過性であり,痙攣発作,眼動脈流入による失明,椎骨脳底動脈系への流入による意識障害など多くの合併症が報告されている1,4,11).一方,PTAは永続的な血管拡張効果が期待できるものの,熟練した技術が要求されるうえに末梢血管に対しては施行不可能である14).これらに代わる治療法として近年FSDの選択的動注療法の有用性についての報告が,特に本邦からなされている8-10,18).われわれもFSDの超選択的動注療法を積極的に行い,良好な結果を得てきたが,今回,FSD選択的動注療法中に痙攣を起こした1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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