Neurological Surgery 脳神経外科32巻5号

2004年05月発行

医療問題

脳神経外科診療における医療セーフティ対策―診療科特性の立場から

著者： 宮崎雄二¹ 大石敦宣¹ 杉本一朗¹ 日高充¹ 宮崎喜寛¹ 金井武¹

所属機関： ¹横浜宮崎脳神経外科病院

ページ範囲：P.519 - P.528

　Ⅰ．はじめに

1999年1月，横浜市立大学において患者を取り違え入院目的と異なる手術が施行される事故が発生して以来，わが国において医療安全が強調されたのに伴い医療事故防止のための諸対策が報告されているが^{1,5,10,12,13,17)}，それらは全診療科に共通したもので，脳神経外科診療を行うために発生する医療事故を予防する対策についての報告はない．

　筆者らは横浜宮崎脳神経外科病院（以下，当院）におけるアクシデントおよびインシデントの内容を検討することによって，脳神経外科診療においては医療事故予防一般対策の他に，脳神経外科診療を行うという特性に基づいた医療セーフティ対策を行うことが必要であると考え，各種対策を行ってきているので報告する．