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総説
脳神経外科における産学官連携
著者: 本望修1 宝金清博1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.571 - P.577
文献購入ページに移動 Ⅰ.はじめに
1.産学官連携の必要性
産学官連携,大学独法化,知的財産,特許,大学発バイオベンチャー,等々,10年程前には耳にしたこともない用語が最近では日常的に使われるようになってきた.グローバル化の波にわれわれ医学界も巻き込まれていることには間違いないが,診療と医学研究に専念していた時代には想像すらできなかったことである.しかし,こうした産学官連携や知的財産などの拡がりの速度に私たち医師が必ずしもうまくキャッチアップできないでいることも事実である.そのため,過剰な期待や誤解も生まれている.本論では,札幌医科大学脳神経外科における経験をもとに,産学官連携に関する現状と知識を整理し,脳神経外科領域における研究の方向性を考えてみたい.
そもそも,20年前は,日本経済に対する評価は,“Japan as No.1”あるいは,「日本の一人勝ち」と言われていたはずだった.ウルグアイ・ラウンド(1987年~)で,EUから日本の一人勝ちを念頭に置いた“Balance of Benefit”が提案されたのも,日本の圧倒的な国際競争力が背景にあったからである.
1.産学官連携の必要性
産学官連携,大学独法化,知的財産,特許,大学発バイオベンチャー,等々,10年程前には耳にしたこともない用語が最近では日常的に使われるようになってきた.グローバル化の波にわれわれ医学界も巻き込まれていることには間違いないが,診療と医学研究に専念していた時代には想像すらできなかったことである.しかし,こうした産学官連携や知的財産などの拡がりの速度に私たち医師が必ずしもうまくキャッチアップできないでいることも事実である.そのため,過剰な期待や誤解も生まれている.本論では,札幌医科大学脳神経外科における経験をもとに,産学官連携に関する現状と知識を整理し,脳神経外科領域における研究の方向性を考えてみたい.
そもそも,20年前は,日本経済に対する評価は,“Japan as No.1”あるいは,「日本の一人勝ち」と言われていたはずだった.ウルグアイ・ラウンド(1987年~)で,EUから日本の一人勝ちを念頭に置いた“Balance of Benefit”が提案されたのも,日本の圧倒的な国際競争力が背景にあったからである.
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