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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科32巻7号

2004年07月発行

文献概要

読者からの手紙

「破裂動脈瘤と未破裂動脈瘤を合併する多発性脳動脈瘤-破裂部位とsizeからの破裂率の検討」の論文について

著者: 平野亮1

所属機関: 1釧央脳神経外科病院

ページ範囲:P.759 - P.759

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 貴誌2004年2月号121ページに掲載された奥山徹先生らの研究論文について,興味深く拝読いたしましたが,一部の内容に疑問点があり投稿いたします.著者らは動脈瘤の部位別破裂率を計算し,破裂しやすい動脈瘤の傾向と部位を特定されています.

 この中で,「多発動脈瘤では一番大きなものが破裂しやすく,サイズの小さなものが破裂する場合は,前交通動脈瘤が多かった.破裂率では,前交通動脈瘤,内頸後交通動脈瘤,中大脳動脈瘤の順で高かった」と述べられており,これについては十分に理解できます.ただ,「前交通動脈瘤は,2~3 mmの小さな動脈瘤のうちから,内頸後交通動脈瘤と中大脳動脈瘤は4mm程度から破裂する」との結論には疑問を覚えます.著者らの述べる動脈瘤のサイズは,あくまで破裂した時点で計測したものであって,破裂する直前のものではないはずです.これは動脈瘤が,破裂直前と破裂後でサイズが変わらないというバイアスがかかったうえでの結論ではないでしょうか.もちろん,破裂前後で動脈瘤のサイズが変わらない例は多くあります.しかし,未破裂脳動脈瘤としてフォローしてきたものが,破裂してくも膜下出血を来した際,破裂前に比し少ししぼんだような状態になり小さくなっているのは,ときどき経験することです.実際に脳動脈瘤が破裂後にサイズを縮小するのは,破裂することで瘤が虚脱してしまう,周囲のくも膜下血腫に圧迫される,瘤内で一部血栓化が生じるなどが考えられています1,2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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