文献詳細
文献概要
症例
前頭葉内側部腫瘍摘出後に補足運動野障害による一過性片麻痺を来した2症例
著者: 橋口公章1 森岡隆人1 福井公子1 河村忠雄1 庄野禎久1 佐々木富男1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院脳神経外科
ページ範囲:P.947 - P.953
文献購入ページに移動補足運動野(supplementary motor area : SMA)は一次運動野(MI)前方の前頭葉内側部に存在し,その後方には中心前回を隔ててMIの下肢支配領域が存在し,下方は帯状溝上壁までとされている.前方および外側の境界はよりあいまいであるが,前方は前中心回の下肢領域の直前から前へ5cm以内,外側は上前頭回を越えない範囲とされる21).SMAは運動の企画,開始および維持に関して重要な役割を果たしており,その単独障害は稀にみられ,その場合には強い片麻痺が生じるが,それが比較的早期に回復することが特徴であるとされている9,18,23).われわれは,前頭葉内側部に存在した神経膠腫の症例で,術中の運動誘発電位(motor evoked potential : MEP)モニターには変化がなかったにもかかわらず,術後一過性に強い片麻痺が出現した2例を経験した.腫瘍切除後のSMA障害について文献的考察を加えて報告する.
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