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読者からの手紙
「虚血発症後,同日内にくも膜下出血を発症した椎骨動脈解離性動脈瘤の1例」の論文について
著者: 安井敏裕1 本田雄二1
所属機関: 1大阪市立総合医療センター
ページ範囲:P.87 - P.87
文献購入ページに移動2例とも出血例で,いずれも発症時に患側椎骨動脈は完全に閉塞しておりました.1990年に1例目を経験いたしました.この時には,山滝氏らも考察で触れられておられますように,解離壁の急性期のダイナミックな変化により,再開通・再破裂もあり得ると考え,ややoverindication のきらいもありましたが,急性期にproximal occlusionを行いました.患者さんはわずかな嗄声を残すのみで,退院いたしました1).その後,2004年に同様の閉塞例を経験いたしましたが,この例では血圧管理のみの保存的治療としました.順調に回復し3日目にはほぼ完全に回復しておりました.しかし,4日目に食事中に突然,頭痛を訴えてcomaとなりました.血管撮影を行いますと閉塞していた患側椎骨動脈は再開通しており動脈瘤が造影されておりました.緊急で動脈瘤のtrappingを施行し,Terson症候群の合併はありましたが,幸い完全に回復しました.この例の経験から,1990年に閉塞例に対して行った手術は,必ずしもoverindicationとは言えなかったのではないかと考えております.
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