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症例
Thalidomide,Celecoxib,Gemcitabineが奏効した肺癌転移性脳腫瘍の1例
著者: 羽田正人1 堀内智英1
所属機関: 1愛鷹病院消化器科
ページ範囲:P.1021 - P.1026
文献購入ページに移動転移性脳腫瘍に対する治療法は手術,放射線治療が主体をなし,化学療法は特殊な癌を除いてその効果は期待できない.全脳照射を受け脳浮腫,ヘルニア嵌頓の危険性のある症例に対してはglucocorticoidsなどによる対症療法しか残されておらず,その予後は非常に悪い.今回われわれが転移性脳腫瘍の治療に使用したthalidomideは免疫調節剤に分類される薬剤で,抗VEGF,抗TNF-α等の作用を有し強力な血管新生抑制作用を示す.一方celecoxibは選択的cyclooxygenase(COX)-2阻害剤で,prostaglandin(PG)E2の産生を抑制することで脳関門の透過性を低下させ脳浮腫治療の可能性が報告されている.
われわれは重篤な肺癌脳転移症例にthalidomide,celecoxibおよびgemcitabineを使用し救命,転移巣の縮小を得た1例を経験したので報告する.
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