文献詳細
文献概要
症例
冠動脈病変を合併した両側内頸動脈狭窄症に対するstent/CEA複合治療の経験
著者: 七戸秀夫1 黒田敏1 浅野剛2 牛越聡2 石川達哉1 宝金清博3 村下十志文4 岩﨑喜信1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科脳神経外科 2北海道大学大学院医学研究科放射線科 3札幌医科大学脳神経外科 4北海道大学大学院医学研究科循環器外科
ページ範囲:P.149 - P.153
文献購入ページに移動近年,頸部内頸動脈狭窄症に冠動脈病変を合併している症例が,多く経験されるようになってきた.本邦での頻度は内頸動脈狭窄症の約10~30%であり,かつ増加の傾向にあることが報告されている7,10).このため内頸動脈狭窄症の治療計画にあたっては,冠動脈病変の有無を検索することがルーチンとなりつつある.
内頸動脈狭窄症に対しては,頸動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy; CEA),stentを用いた血管形成術(carotid arterial stenting; CAS)が治療の選択肢となり得る.同様に,冠動脈疾患に対しては,冠動脈バイパス術(coronary artery bypass graft; CABG),stentを併用した血管形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty; PTCA)が検討され得る.両者の病変を合併した症例では,周術期の合併症を減少させるために,①頸動脈病変の治療優先,②冠動脈病変の治療優先,③両病変の同時治療のオプションが検討されている4).
しかし,両側内頸動脈高度狭窄症を有する冠動脈疾患の症例では,冠動脈疾患に対する治療と平行して,周術期に脳梗塞が発生するのを予防するために,両側内頸動脈に対する治療を行う必要がある.今回,われわれは,このような2症例において,CASとCEA両者を冠動脈疾患に対する治療と平行して実施することで良好な結果を得ることができたので,その概要を報告する.
参考文献
掲載誌情報