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法人化1年後の国立大学病院
著者: 長尾省吾1
所属機関: 1香川大学
ページ範囲:P.533 - P.534
文献購入ページに移動法人化のスタートにあたり診療医師の勤務体制が人事院規則から,労働基準法(週40時間勤務,当直週1回,日直月1回,時間外勤務は年間360時間以内)に変更された.そのため時間外,休日,年末年始などの長期休院時には実際に診療にあたる医師不足が発生し,医療の質が低下しており,重症の急患に対応できなくなるなど急性期病院として充実を目指す大学病院にとって重大な問題が生じている.事実,関係医療機関から多くのクレームが寄せられている.一方,助手以上の常勤医の当直日数が減少し,また,時間外勤務手当の制限により彼らの収入は大幅減となり不平不満でいっぱいである.法人化前でも国立大学病院の医師手当は他の公立病院に比して低く設定されていた.他の病院より安い給料で従来以上の教育・研究・診療のアクティビティを維持せよというのはどう考えても不合理であり,優秀な人材が大学外へ流出することを危惧している.常勤職員の定員増は不可のため,非常勤職員の増員で病院診療はやっと運営されている状況である.しかも任期付きの非常勤採用ではこれまたよい人材が集まらない.大学病院に優秀な人材を集中させるべく非常勤職員の常勤化を含めいろいろ策を練っているが妙案はない.
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