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研究
血管内治療を施行した顔面外傷を伴う多発外傷例の検討―超緊急の外頸動脈塞栓術の意義
著者: 塩見直人1 広畑優1 宮城知也1 藤村直子1 刈茅崇1 徳富孝志1 重森稔1
所属機関: 1久留米大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.673 - P.680
文献購入ページに移動多発外傷症例は治療の優先順位により転帰が左右されることが多く,初期診療の手順とタイミングの決定が極めて重要である.特に交通事故の場合には頭部,顔面外傷を伴っていることが多く,初期診療において脳神経外科医の果たす役割は大きい.
多発外傷症例の中でも血管損傷などにより出血が持続して出血性ショックを呈している重症例は,出血源の同定と止血方法およびその時期について判断に苦慮する場合がある.顔面外傷を伴った症例においても鼻腔および口腔内から多量の出血が持続しショックとなる場合があるが,その止血方法やタイミングについて検討した報告は少ない4,8).
近年の血管内手術の進歩により,顔面外傷による出血例に対して血管内アプローチによる外頸動脈塞栓術が行われるようになった.われわれは,これまでに顔面外傷に対して血管内手術による止血術を施行した5例の多発外傷症例を経験した.これらの症例について治療内容,治療までの時間経過,合併損傷の有無と程度,転帰などを検討することにより,多発外傷症例における初期診療の観点からみた本療法の適応および緊急性について分析したので報告する.
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