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連載 IT自由自在
リアルタイムモバイルテレコミュニケーションの開発と脳神経外科救急医療体制への応用
著者: 長谷川光広1 東馬康郎1 岡本禎一2
所属機関: 1福島県立病院脳神経外科 2藤井脳神経外科病院
ページ範囲:P.104 - P.107
文献購入ページに移動脳神経外科医である読者の中で,次に述べるような状況で明瞭な診断画像がどうしても必要と感じたことのある方々は少なくないはずである.例えば,学会,出張,その他で院外にいる時に,①他科の当直医から救急患者の診察あるいは手術要請があった,②若い留守番脳神経外科医から救急患者の報告と緊急手術の許可を求められた,あるいは,③血管内手術の適応について,現在撮影中のDSA画像を提示しながら他院の専門医に技術的アドバイスをもらいたい.④出張に出かけている部長に,急変患者の最新画像を報告したい,等々.現在,院内はPHSで,院外ではモバイルで,海外でも簡単に瞬時に音声で通信できる時代である.脳神経外科救急医療における初動体勢をより迅速にかつ正確にするためには,音性通信と同時に重要医用画像もあわせて情報伝達できるシステムを構築することが切望されている.
これまでにも,多くの遠隔画像コンサルテーションシステムの工夫が報告されてきた3-5)が,光ファイバーを用いた高画質固定通信はインフラ整備に時間と巨額な資金が必要であること,携帯電話あるいはPCにmail添付形式で静止画像を送る簡易移動型は思いのほかその操作が煩雑で時間もかかるなどの問題があり,いまだ急性期脳神経外科疾患の対応には汎用されていないのが現状である.テレビ電話機能をもつ第3世代の携帯電話FOMA(㈱NTTドコモ)の画質の向上とコンパクトな画像伝送装置の開発(㈱ナナオ)により,電話をかける操作1つで,受け手がどこにいようが,良質の医用動画画像を用いたコンサルテーション(いわゆるリアルタイムモバイルテレコミュニケーション)を瞬時に行うことを可能とした2).本稿では,最近の電子カルテと連動させることにより,システムの活用がさらに簡便となった点をふまえ,ここにそのシステムの概略と実際を紹介したい.
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