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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科34巻1号

2006年01月発行

文献概要

連載 IT自由自在

リアルタイムモバイルテレコミュニケーションの開発と脳神経外科救急医療体制への応用

著者: 長谷川光広1 東馬康郎1 岡本禎一2

所属機関: 1福島県立病院脳神経外科 2藤井脳神経外科病院

ページ範囲:P.104 - P.107

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■はじめに

 脳神経外科医である読者の中で,次に述べるような状況で明瞭な診断画像がどうしても必要と感じたことのある方々は少なくないはずである.例えば,学会,出張,その他で院外にいる時に,①他科の当直医から救急患者の診察あるいは手術要請があった,②若い留守番脳神経外科医から救急患者の報告と緊急手術の許可を求められた,あるいは,③血管内手術の適応について,現在撮影中のDSA画像を提示しながら他院の専門医に技術的アドバイスをもらいたい.④出張に出かけている部長に,急変患者の最新画像を報告したい,等々.現在,院内はPHSで,院外ではモバイルで,海外でも簡単に瞬時に音声で通信できる時代である.脳神経外科救急医療における初動体勢をより迅速にかつ正確にするためには,音性通信と同時に重要医用画像もあわせて情報伝達できるシステムを構築することが切望されている.

 これまでにも,多くの遠隔画像コンサルテーションシステムの工夫が報告されてきた3-5)が,光ファイバーを用いた高画質固定通信はインフラ整備に時間と巨額な資金が必要であること,携帯電話あるいはPCにmail添付形式で静止画像を送る簡易移動型は思いのほかその操作が煩雑で時間もかかるなどの問題があり,いまだ急性期脳神経外科疾患の対応には汎用されていないのが現状である.テレビ電話機能をもつ第3世代の携帯電話FOMA(㈱NTTドコモ)の画質の向上とコンパクトな画像伝送装置の開発(㈱ナナオ)により,電話をかける操作1つで,受け手がどこにいようが,良質の医用動画画像を用いたコンサルテーション(いわゆるリアルタイムモバイルテレコミュニケーション)を瞬時に行うことを可能とした2).本稿では,最近の電子カルテと連動させることにより,システムの活用がさらに簡便となった点をふまえ,ここにそのシステムの概略と実際を紹介したい.

参考文献

1)藤澤博亮,米田 浩,加藤祥一,小泉博靖,富永貴志,黒川 徹,鈴木倫保:テレビ電話を用いた関連病院からの画像コンサルテーション.No Shinkei Geka 33:178-181, 2005
2)長谷川光広,岡本禎一,木多真也,山下純宏:双方向コミュニケーションの可能なリアルタイムモバイルテレコミュニケーションシステムの開発.新医療31:45-48, 2004
3)Houkin K, Fukuhara S, Selladurai BM, Zurin AA, Ishak M, Kuroda S, Abe H:Telemedicine in neurosurgery using international digital telephone services between Japan and Malaysia--technical note. Neurol Med Chir (Tokyo) :773-777, 1999
4)桑鶴良平:携帯情報末端を用いた医用画像伝送システムの運用.新医療31:38-40, 2004
5)Yamada M, Watarai H, Andou T, Sakai N:Emergency image transfer system through a mobile telephone in Japan: technical note. Neurosurgery 52:986-988, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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