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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科34巻10号

2006年10月発行

文献概要

オシム氏の提言

著者: 溝井和夫1

所属機関: 1秋田大学脳神経外科

ページ範囲:P.979 - P.980

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 日本の脳神経外科専門医は6,000人を超え,欧米諸国に比べ過剰ではないかとの指摘があります.総会やコングレスでもしばしば脳神経外科医の過剰問題が取り上げられ,賛否両論が繰り広げられました.よく言われるように,欧米と日本では脳神経外科医の仕事内容や労働条件がまったく異なり,単純な数字の比較は無意味です.私は,過剰どころか,脳神経外科医不足を痛感している1人です.6,000人の脳神経外科専門医の地域偏在は極めて顕著です.東京都に約900名,大阪・兵庫を併せるとやはり900名,北海道には約400名,愛知県と福岡県には約300名の脳神経外科専門医がおり,この6都道府県に脳神経外科専門医の約半数が存在しています.一方,東北,中国,四国,九州などのいわゆる過疎県では各県50名程度の専門医しか存在しません.非専門医を加えると地域格差はさらに広がると思われます.

 このような地域格差に加え,平成16年度から開始された新臨床研修制度は地方大学に大きな影響を及ぼしました.研修医の大学病院離れに始まり,今年に入り研修終了後も大学病院へ戻る医師は減少していることが明らかになりました.最近,全国医学部長病院長会議は卒後臨床研修に関する緊急声明を表明し,このような事態は地域医療の崩壊と医学・医療研究の沈滞を招くと指摘し,臨床研修制度の迅速な見直しを提言しています.声明では,これらの問題は新臨床研修制度にのみ原因を求めるのではなく,大学自らが取り組むべき課題も山積しているとしつつも,速効性のある具体的対応策の提示には至っていません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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