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「医療と癒しの環境」~愛と笑いとユーモアを~
著者: 土井章弘1
所属機関: 1岡山旭東病院
ページ範囲:P.227 - P.228
文献購入ページに移動時代の流れに沿って,癒しの環境の大切さが増してきています.Dr. パッチ・アダムスの映画を見た方もいらっしゃると思いますが,私も2001年の秋にロビン・ウィリアムス主演の「パッチ・アダムス」の映画を見ました.映画は,ハンター・アダムスというアメリカに実在する医師の半生を描いたものでした.彼は自らの入院体験中に“笑いやユーモア”が人の心を癒し,病を克服する力があるということに気づき,医学の道を志しました.名門ヴァージニア大学在学中から権威主義・ビジネス化した現代医療に疑問を抱き,同大学を抜群の成績で卒業と同時に,仲間とともに“Gesundheit Institute(お元気ですか病院)”を設立し,無料で診療にあたっています.その映画を見てからDr. パッチに会ってみたい,岡山に呼びたいと願っていました.2002年9月1日に,高柳和江先生(日本医科大学助教授・医療管理学)の紹介により,Dr. パッチの講演会を岡山で1,500名の聴衆を集めて開催することができました.開催にあたり,特別ゲストとして広島県上下町にあるMGユースホステルの経営者で当時92歳の森岡まさ子さん,司会に山陽放送の岩根宏行氏,ステージマネージャーには長野県在住の山の道化師パックマンこと塚原成幸氏にお願いいたしました.100人に近いボランティアに支えられて,素晴らしいDr. パッチの講演会が開催されました.Dr. パッチからのメッセージは「同情と寛容を重んじる社会への移行,それを実現するには,愛と笑いとユーモアなどの楽しさが必要」「日本の伝統芸術の中に,思いやりに満ちた精神性が溢れている,それを気づくきっかけになれば嬉しい」であったと思います.「愛と笑いとユーモア」を自然なかたちで医療の中に導入できたらどんなにいいか,それが私の夢のひとつです.
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