icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科34巻7号

2006年07月発行

文献概要

テクニカル・ノート

内視鏡下一側経鼻的下垂体腺腫摘出術における手術機器の開発―Q-PALとHP-Jetに関する提案―

著者: 小林伸行1 渡辺英寿1 市村恵一2

所属機関: 1自治医科大学脳神経外科 2自治医科大学耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.715 - P.722

文献購入ページに移動
Ⅰ.は じ め に

 われわれは2004年より内視鏡単独で,一側鼻腔から進入し自然孔を拡大,蝶形骨洞内に進入するtransnasal transsphenoidal approach(以下,TNA)にて下垂体手術を行っている.

 TNAは内視鏡を使用するため広い手術視野が確保でき,また経鼻腔到達法であるため上口唇粘膜の切開や鼻腔粘膜の剝離,鼻中隔軟骨の骨折脱臼を必要としないので,通常のtranssphenoidal surgeryより低侵襲に行える手術である(Fig. 1).一方,経鼻腔手術全般の問題点として手術経路が狭くて深いという特殊性があり,複数の器械を用いて同時に操作することが困難となるため,この点の解決が必要である.

 そこでわれわれは,①狭い術野での止血凝固に有効なPAL-Ⅰ電極を吸引管内に通し,吸引と凝固を同時に行えるように工夫した(通称Q-PAL).②イリゲーション管を装備した脱着式下垂体イリゲーション吸引管を改変し,用手的に生理食塩水を噴射して腫瘍除去を行う(通称HP-Jet).これらの器具によって,狭い術野での有効な腫瘍の摘出が可能となったので報告する.

参考文献

1)阿部琢己,松本 清,嶋津基彦,神保洋之,須永茂樹,土肥謙二,佐々木 健,泉山 仁,大気誠道,藤谷 哲:Micro-pressure-suction-irrigation systemを併用した経鼻的下垂体腺腫摘出術.No Shinkei Geka 27:225-231, 1999
2)阿部琢己:経鼻的下垂体腫瘍摘出術-術式および工夫.No Shinkei Geka 31:955-974, 2003
3)Badie B, Nguyen P, Preston JK:Endoscopic-guided direct endonasal approach for puituitary surgery. Surg Neurol 53:168-173, 2000
4)Ludecke DK, Treige W:Pressure-irrigation-suction system.Technical note. Acta Neurochir (Wien) 66:123-126, 1982
5)田原重志,喜多村孝幸,寺本 明:神経内視鏡手術の進歩-下垂体腫瘍-.脳神経 55:487-496, 2003
6)寺本 明:経蝶形骨下垂体手術の合併症.No Shinkei Geka 31:1165-1176, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?