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テクニカル・ノート
内視鏡下一側経鼻的下垂体腺腫摘出術における手術機器の開発―Q-PALとHP-Jetに関する提案―
著者: 小林伸行1 渡辺英寿1 市村恵一2
所属機関: 1自治医科大学脳神経外科 2自治医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.715 - P.722
文献購入ページに移動われわれは2004年より内視鏡単独で,一側鼻腔から進入し自然孔を拡大,蝶形骨洞内に進入するtransnasal transsphenoidal approach(以下,TNA)にて下垂体手術を行っている.
TNAは内視鏡を使用するため広い手術視野が確保でき,また経鼻腔到達法であるため上口唇粘膜の切開や鼻腔粘膜の剝離,鼻中隔軟骨の骨折脱臼を必要としないので,通常のtranssphenoidal surgeryより低侵襲に行える手術である(Fig. 1).一方,経鼻腔手術全般の問題点として手術経路が狭くて深いという特殊性があり,複数の器械を用いて同時に操作することが困難となるため,この点の解決が必要である.
そこでわれわれは,①狭い術野での止血凝固に有効なPAL-Ⅰ電極を吸引管内に通し,吸引と凝固を同時に行えるように工夫した(通称Q-PAL).②イリゲーション管を装備した脱着式下垂体イリゲーション吸引管を改変し,用手的に生理食塩水を噴射して腫瘍除去を行う(通称HP-Jet).これらの器具によって,狭い術野での有効な腫瘍の摘出が可能となったので報告する.
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