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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科35巻1号

2007年01月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

破裂脳動脈瘤治療のためのless invasive cisternal approachとくも膜下血腫除去

著者: 谷川緑野1

所属機関: 1特別医療法人明生会網走脳神経外科リハビリテーション病院

ページ範囲:P.17 - P.24

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Ⅰ.はじめに

 破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血を開頭クリッピング術により根治せしめる場合,超急性期では頭蓋内圧亢進などにより脳の状態が悪いものが多いため,transsylvian approachでもinterhemispheric approachでも脳槽を開放する作業には困難を伴う場合が多い.Fisher 3型などの重症例ではくも膜下出血clotが脳槽を充満しているがために,脳槽内で軟膜間や軟膜-血管間をつなぐarachnoid trabecullaeの視認性が悪く,未破裂例で脳槽を開放しアプローチする場合よりも脳損傷を起こす危険性が高くなると思われる.

 本稿では,急性期くも膜下出血症例での直達手術を行う際に軟膜損傷を最小限にし,くも膜下血腫を効率的に洗浄除去し,動脈瘤処理に必要十分な術野を確保するための技術的な留意点について解説する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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