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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科35巻10号

2007年10月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

下垂体腺腫の内視鏡下経鼻的経蝶形骨洞手術―自然口経由法の手術手技を中心に

著者: 佐伯直勝1 村井尚之1 長谷川祐三1 堀口健太郎1 花澤豊行2

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院脳神経外科学 2千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学

ページ範囲:P.971 - P.985

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Ⅰ.はじめに

 経蝶形骨洞的下垂体部腫瘍手術では,開頭術と違い脳を牽引することなく下垂体部腫瘍を摘出できる.通常の下垂体腺腫に対しては第一選択の手術法である.

 従来,顕微鏡が使用されてきたが,最近内視鏡手術が盛んに行われるようになり,その手術法には,種々のバリエーションがある.顕微鏡も内視鏡も同じ鼻腔到達経路を取る.その鼻腔操作法には,上部口唇粘膜下経由法と経鼻法があり,後者にはさらに鼻中隔粘膜下経由法と自然口経由法がある.ただ,経鼻法で開創器を使わない方法は内視鏡特有の方法といえる.

 内視鏡を使う長所として以下の点がある.
①より明るく広い術野を確保できる. 対象に近づくことで,蝶形骨洞内では視神経管隆起,視神経内頸動脈陥凹,蝶形骨水平部,斜台,さらにトルコ鞍底を開けると,鞍内,海綿静脈洞部内頸動脈や鞍上部など,トルコ鞍周囲の構造物が観察可能となる.
②開創器を使用する方法では,粘膜切開創を鼻腔奥に置くことから,通常,鼻栓が片側で済み,その期間も短く,患者の術後の負担が軽減する.さらに,粘膜切開を施行しない自然口経由法では,術後の鼻栓が不要となり患者の負担がさらに軽減され,低侵襲な手術が可能である.
③開創器未使用下では,器具の進入角度の制限が減少し操作性が向上する3)

 一方,短所としては以下の点がある.
①内視鏡で得られる像は二次元で,立体感が少ないため術者が習熟するのに時間がかかる.
②中心部は鮮明だが辺縁部の画像がゆがむ.
③内視鏡先端のレンズに血液が付着しやすく,頻回の洗浄を必要とする.
④特有の手術器具を必要とする.
⑤煙突状の狭い術野に内視鏡のシャフトが挿入され,さらに操作野が狭くなる3)

 顕微鏡手術,内視鏡手術には,それぞれ特徴がある.それぞれの長所を生かして併用すればよいという考えもある.しかし,筆者らは,開創器未使用の内視鏡単独経蝶形骨洞手術を積極的に行っている.これは,内視鏡手術の習熟に時間はかかるものの,その特徴を最大限に活用することで,低侵襲性に加えて,前頭蓋底,海綿静脈洞,斜台部腫瘍へ拡大手術が可能になると考えるからである.ここでは,現在筆者らが行っている手術法を紹介する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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