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編集後記 フリーアクセス
著者: 堀智勝
所属機関:
ページ範囲:P.1216 - P.1216
文献購入ページに移動長尾先生の「法人化4年後の大学病院の現状」も大変参考になる論文でした.ある会で,日本のサラリーマンは米国のサラリーマンの5倍の給料を貰っているが,勤務医は米国の5分の1しか給料を貰っていない,その理由は医療関係者がストをしなかったからだという話を聞きました.日本人は赤ひげ・医は仁術などという意識が強く,医者は仕事量に比べてかなり悪い待遇に甘んじているというのは本当で,医療に対する予算が非常に小額なのに,これだけの長寿社会を保っているのは医療関係者の稀に見る努力の賜物ではないかと思います.それなのに,医療ミスでも起こそうものなら犯罪者扱いされ,患者さんの家族などから攻撃を受けたりします.外科医が一生懸命手術をしたのにうまくいかない率がどのくらいかもっとはっきりさせたほうがよいのではないかと思うくらいです.マスコミに取り上げられるスーパードクターがインタビューなどで,彼らでさえどのくらい手術の失敗率があるか正直に出してくれれば,そうでない医師が合併症を出しても患者さんや家族の人も少しはわかってくれると思うのです.「スーパードクター」の中には成功率100%などと言う人もいて,素人がこれを聞けば本気にしてしまうでしょう.大半の医師にとってはますます働きにくい状況になってきているようです.そうは言っても同じ過ちは二度と繰り返さないように日夜文献や手術書やビデオを見て明日の手術に備えるのがわれわれ脳神経外科医です.その意味で本号では米川教授の力作,「Selective amygdalohippocampectomy」が掲載されており,今後の臨床に非常に参考になります.長年の経験に基づいたカラー図などの美しさに感嘆しました.亀山先生らの連載「てんかんの画像と病理」も参考になるものです.その他種々の力作が掲載されており,貴重な号となるものと思われます.
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