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脳神経外科をとりまく医療・社会環境
脳動脈瘤治療に関する医療過誤訴訟
著者: 福永篤志1 古川俊治2 大平貴之1 河瀬斌1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科 2慶應義塾大学医学部外科
ページ範囲:P.193 - P.200
文献購入ページに移動最高裁判所内の医事関係訴訟委員会の公表データによると,全診療科における医療過誤訴訟新規受件数は,平成7年度以降増加し続けていたが,平成17年度にようやく減少傾向に転じた(Fig. 1).その原因として,平成12年頃から各大学・施設においてリスクマネジメントが強化されたことや,医療者側の意識改革,インフォームド・コンセント(IC)の充実などが考えられる.しかしながら,現在でも医療過誤に関する事件はしばしば報道されているのが実情である.訴訟はあくまでも氷山の一角に過ぎないから,今後も医療過誤紛争を早期解決し,訴訟をさらに減らしていく努力を続けていかなければならないと思われる.
前回われわれは,脳神経外科領域に関する医療過誤訴訟の実態について,下級裁判所主要判例を調査したところ,訴訟件数は平成12年度から急増しており,また,疾患としては,脳動脈瘤に関する訴訟が最も多いことが判明した1).
そこで今回は,脳動脈瘤治療に関する医療過誤訴訟に着目して,その実態について詳細に調査・分析した.さらに,その結果をふまえ,過去の論文報告をもとに,医療事故にどのように対処すべきかについて検討する.
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