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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科35巻2号

2007年02月発行

文献概要

脳神経外科をとりまく医療・社会環境

脳動脈瘤治療に関する医療過誤訴訟

著者: 福永篤志1 古川俊治2 大平貴之1 河瀬斌1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科 2慶應義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.193 - P.200

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Ⅰ.はじめに

 最高裁判所内の医事関係訴訟委員会の公表データによると,全診療科における医療過誤訴訟新規受件数は,平成7年度以降増加し続けていたが,平成17年度にようやく減少傾向に転じた(Fig. 1).その原因として,平成12年頃から各大学・施設においてリスクマネジメントが強化されたことや,医療者側の意識改革,インフォームド・コンセント(IC)の充実などが考えられる.しかしながら,現在でも医療過誤に関する事件はしばしば報道されているのが実情である.訴訟はあくまでも氷山の一角に過ぎないから,今後も医療過誤紛争を早期解決し,訴訟をさらに減らしていく努力を続けていかなければならないと思われる.

 前回われわれは,脳神経外科領域に関する医療過誤訴訟の実態について,下級裁判所主要判例を調査したところ,訴訟件数は平成12年度から急増しており,また,疾患としては,脳動脈瘤に関する訴訟が最も多いことが判明した1)

 そこで今回は,脳動脈瘤治療に関する医療過誤訴訟に着目して,その実態について詳細に調査・分析した.さらに,その結果をふまえ,過去の論文報告をもとに,医療事故にどのように対処すべきかについて検討する.

参考文献

1)福永篤志,古川俊治,大平貴之,須田 清,河瀬 斌:脳神経外科領域の医療過誤訴訟─下級裁主要判例の検討─.No Shinkei Geka 34:85-94, 2006
2)福永篤志,河瀬 斌:医事法の扉第1回「善管注意義務」.No Shinkei Geka 34:526, 2006
3)福永篤志,河瀬 斌:医事法の扉第2回「説明義務」.No Shinkei Geka 34:625, 2006
4)福永篤志,河瀬 斌:医事法の扉第5回「届出義務」.No Shinkei Geka 34:951, 2006
5)福永篤志,河瀬 斌:医事法の扉第7回「損害賠償」.No Shinkei Geka 34:1167, 2006, 2006
6)古川俊治:医療事故への対応と法的解決.日外誌102:299-302, 2001
7)古川俊治:透析療法改訂版.「インフォームド・コンセントと医事紛争」.大平整爾編,医薬ジャーナル社,大阪,pp94-95, 2005
8)古瀬 彰,長瀬真幸:外科領域の安全管理.日外誌104:20-22, 2003
9)国立大学医学部附属病院長会議常置委員会:医療事故防止のための安全管理体制の確立について─「医療事故防止方策の策定に関する作業部会」中間報告─.平成12年5月
10)前田順司:医療裁判における診療録の役割.外科67:295-301, 2005
11)押田茂實:実例に学ぶ医療事故発生時の対応-再発防止のために.医学のあゆみ202:157-159, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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