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連載 脳神経外科における再生医療―臨床応用にむけて(1)
ヒトES細胞を用いる再生医療の法的倫理的諸問題
著者: 位田隆一1
所属機関: 1京都大学公共政策大学院
ページ範囲:P.403 - P.410
文献購入ページに移動生命科学・医学の発展は,第2次大戦後の科学技術のそれの中でも最も著しいものの1つである.いまや1個のヒト細胞の発達が分子レベルまで把握されてくるにつれて,細胞や組織をいかにして疾病の治療に用いるかが,重要な目標の1つとなった.とりわけヒトES細胞を用いる再生医療は,様々な難病の効果的な治療に大きく役立つことが期待されている.
しかし,ヒトES細胞を用いる再生医療は同時にわれわれに大きな課題を投げかけている.人のES細胞は人間が誕生する最初の段階にある胚を破壊して得られるものであり,さらにその臨床応用においては,免疫拒絶反応を回避するために患者のクローン胚を作成する必要があるとされる.こうした「人の生命の萌芽」を生殖目的以外に利用することは,人間の生命に対する考え方に再考を迫るものであり,人間の生命に対する重大な挑戦でもあって,人間社会および個々人に対して重大な倫理的,法的,社会的問題を含んでいる.
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