文献詳細
文献概要
脳神経外科をとりまく医療・社会環境
日本と米国の脳神経外科診療の違い―第2回
著者: 伊藤昌徳1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院脳神経外科
ページ範囲:P.521 - P.527
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
2006年日本脳神経外科学会総会橋本信夫会長の「医療は純粋な科学と異なりある国での正解が他の国においても正解というわけではないという視点も必要である」との声明4)は至言である.日本も米国も独自の社会文化を背景とした医療が行われているが,第1回に引き続き日米の脳神経外科診療の違いについて比較検討し,わが国の脳神経外科医療の現状と将来を考える際の一助としたい.第2回では,医療経済の視点から①健康保険制度の日米の考え方の違い,②民間保険医療費負担と米国企業経営圧迫,③2本立ての診療報酬請求・支払い制度,④健康保険の種類と脳神経外科医(専門医)への受診制限,⑤診療報酬(医療費)の支払い方式の多様性,について比較検討する.
2006年日本脳神経外科学会総会橋本信夫会長の「医療は純粋な科学と異なりある国での正解が他の国においても正解というわけではないという視点も必要である」との声明4)は至言である.日本も米国も独自の社会文化を背景とした医療が行われているが,第1回に引き続き日米の脳神経外科診療の違いについて比較検討し,わが国の脳神経外科医療の現状と将来を考える際の一助としたい.第2回では,医療経済の視点から①健康保険制度の日米の考え方の違い,②民間保険医療費負担と米国企業経営圧迫,③2本立ての診療報酬請求・支払い制度,④健康保険の種類と脳神経外科医(専門医)への受診制限,⑤診療報酬(医療費)の支払い方式の多様性,について比較検討する.
参考文献
1)Campbell JC, Ikegami N:Chapter 4 The egalitarian health insurance system. The art of balance in health policy. maintaining Japan's low-cost egalitarian system, Cambridge University Press, Cambridge, 1998, pp87-115
2)Campbell JC, Ikegami N:Chapter 8, The art of balance in health policy. maintaining Japan's low-cost egalitarian system, Cambridge University Press, Cambridge, 1998, pp199-218
3)Campbell JC, Ikegami N:Chapter 4 The egalitarian health insurance system. The art of balance in health policy. maintaining Japan's low-cost egalitarian system, Cambridge University Press, Cambridge, 1998, pp87-115
4)橋本信夫:開催ご挨拶.Neurol Med Chir (Tokyo) 46 Extra issue, 2006, p3
5)広井良典(編):医療改革とマネージドケア―選択と競争原理の導入―.東洋経済新報社,東京,1999, pp13-33
6)廣瀬輝夫:皆保険を守る医療改革を.篠原出版,東京,2002
7)石川義弘:医療市場の勝者と敗者―米国では今何がおこっているのか―日本臨床内科医会会誌17:239-244, 2002
8)Ito M:Health Insurance System in Japan. Japanese-American Friendship Conference. 2003 Annual meeting of American Association of Neurological Surgeons. April 25, 2003, San Diego, USA
9)Ito M:Health Insurance System in Japan:a Neurosurgeon's view. Neurol Med Chir (Tokyo) 44:617-628, 2004
10)岩田健太郎:悪魔の味方.米国の医療現場から.克誠堂出版,東京,2003
11)川淵孝一:医療保険改革と日本の選択,薬事日報社,東京,2001,p235,238
12)河野圭子:病院の内側から見た米国の医療システム.新興医学,東京,2002
13)河野圭子:病院の外側から見た米国の医療システム.新興医学, 東京,2006
14)錦織 宏:英国のGPと医学教育.英国の医学教育からみえるもの(第6回).週刊医学界新聞第2697号,医学書院,2006年9月4日
15)Popp AJ, Scrime T, Cohen BR, Feustel PJ, Petronis K, Habiniak S, Waldman JB, Vosburgh M:Factors affecting profitability for craniotomy. Neurosurg Focus 12 :e4, 2002
16)李 啓充:米国医療の光と影 第62回 ゼネラル・モータースの苦境と米医療保険制度.週刊医学界新聞第2638号,医学書院,2005年6月20日
掲載誌情報