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コラム:医事法の扉
第14回 「債務不履行」と「不法行為」
著者: 福永篤志1 河瀬斌1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.581 - P.581
文献購入ページに移動 患者が医師に対して損害賠償を請求する場合には,「債務不履行」(民法415条)あるいは「不法行為」(709条以下)に基づく2つの請求権があります.そのどちらか一方を選択するか,あるいは,両方を請求するか(請求権競合)は,原告である患者が決定します(請求の立て方を原告に委ねることで,処分権主義の原則といいます.民事訴訟法246条).
医師と患者との関係を医療契約(民法656条)と捉えると,「債務者」である医師が「債権者」である患者に「債務の本旨に沿った」(415条)とはいえない不適切な医療行為を行った場合には「債務不履行」となってしまいます.一方,契約関係は別にして,医師が「故意又は過失により」患者の「権利又は法律上保護された利益を侵害」し,患者に「損害を発生」させたとするのが「不法行為」です.
医師と患者との関係を医療契約(民法656条)と捉えると,「債務者」である医師が「債権者」である患者に「債務の本旨に沿った」(415条)とはいえない不適切な医療行為を行った場合には「債務不履行」となってしまいます.一方,契約関係は別にして,医師が「故意又は過失により」患者の「権利又は法律上保護された利益を侵害」し,患者に「損害を発生」させたとするのが「不法行為」です.
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