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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科35巻7号

2007年07月発行

文献概要

コラム:医事法の扉

第15回 「家族への説明義務」

著者: 福永篤志1 河瀬斌1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.731 - P.731

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 本コラム第2回「説明義務」でとりあげましたように,「説明義務」は,医師に課せられた診療契約に基づく義務の1つとして医療法第1条の4第2項に明文化されています1).ただし,同条には患者「本人」への説明義務は規定されていますが,患者の「家族」への説明義務については何ら規定されていません.はたしてわれわれ医師は,患者の家族に対しても説明しなければならないのでしょうか.

 この点,進行性胃癌の患者本人と同居の家族に病名を告げず,別居の弟にのみその病名を告げ,結局,治療時期を逸して死亡してしまったケースに対して,最高裁は,「診療契約上の義務の観点からすると,…患者に病状等を説明すべきこと,何らかの事情で,患者本人に対する病状等の告知が適当でない場合には,その家族等の近親者に病状等を説明し,その協力の下に患者が適切な治療を受けることが可能となるような措置を執るべきことが含まれる」と判示しました(平成6年3月30日判決).つまり,原則として患者自身に説明すべきなのですが,患者に病名を告げることが好ましくない場合には,患者の家族に説明しなければならないと考えられます(同様の判例として,最高裁平成14年9月24日判決があります).

参考文献

1)福永篤志,河瀬 斌:第2回「説明義務」.No Shinkei Geka 34:625, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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