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扉
大人の責任
著者: 宮本享1
所属機関: 1国立循環器病センター脳神経外科
ページ範囲:P.3 - P.4
文献購入ページに移動私はそんな省の直轄病院に勤めている.出張でマイル登録してはならず,格安チケットが義務化され,それを利用しない場合にはその都度理由書の提出が求められる.時間あたりの講演料は国立大学の教官時代に認められていた金額の2割以下である.困り果てた主催者側が「一般の常識」額との差額分を原稿料として支払おうとしてくれる場合もあるが,これにも1字10円という規定があり相当な字数の原稿となる.ビデオ編集料として認めてもらえないかと照会したところ,前例がないと返答があった.これらは「何も悪いことはしていません」と批判されないための手続きである.一方レジデントがいくら休日・時間外勤務をしようと,規定以上はサービス残業である.「労働基準以上には働かせていません」ということであろうが,同じ厚労行政の労災医員としての立場から言えば,十分な過重労働である.医療サービスは過重労働として現場に押し付けられており,政策理念と現実には大きな乖離がある.
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