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コラム:医事法の扉
第30回 「使用者責任」
著者: 福永篤志1 河瀬斌1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.933 - P.933
文献購入ページに移動もっとも,民法715条1項但書には,「ただし,使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき,又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは,この限りでない.」とあり,使用者に落度がなければ,責任が免除されるという規定になっています.すなわち,使用者が自己に過失のないことを立証すれば損害賠償責任が回避されるというもので,これを「中間責任」といいます.ただ実際には,使用者が過失がないことを立証することは極めて困難なので(戦後の判例上免責が認められた例の報告はない)3),使用者責任は,事実上「無過失責任」であるとされています.
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