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研究
脳腫瘍診断におけるMR-fusion Tl-SPECT画像の有用性に関する定量的評価
著者: 永井秀政1 原元益夫2 高田大慶1 大洲光裕1 宮嵜健史1 杉本圭司1 秋山恭彦1 森竹浩三1 山本泰司2
所属機関: 1島根大学医学部脳神経外科 2島根大学医学部附属病院放射線部
ページ範囲:P.1093 - P.1101
文献購入ページに移動脳腫瘍の定性的評価として201Thallium-chloride single photon computed tomography(Tl-SPECT)は,良性・悪性の鑑別診断や悪性度の不均一な腫瘍での活動性の高い部位の同定などに有用で,さらに各種の治療効果判定,残存腫瘍や局所再発の有無,放射線壊死との鑑別,化学療法の経過中における効果予測などにも有用との報告がある2,6).一方でTl-SPECTは空間分解能が低く定量性に難点があった.Tl-SPECTの定量指標(Tl値)として,tumor uptake(T)とnormal uptake(N)からの比でearly ratio(ER)=early T/N,delayed ratio(DR)=delayed T/Nがあり,さらにretention index(RI)=DR/ERあるいはmodified RI=(DR-ER)/ERなどが用いられ,脳腫瘍の良性・悪性の判定基準として報告されている3,8).
近年,SPECT画像での空間分解能向上とともに統計的手法や他のモダリティとの融合による総合的評価が行われ,特にmagnetic resonance imaging(MRI)とSPECT画像をfusionする画像ソフトが普及している7).そのようなMR fusion画像ソフトにTl用に開発されたBrain Easy Analysis Tool for 201Tl(BEAT-TL®“ビートル”;富士フィルムRIファーマ㈱,東京)があるが,このソフトを用いたTl-SPECTの定量性の報告は未だ十分でなく,脳腫瘍診断でのMR fusion画像によるTl-SPECT画像の定量性を再検討しなければならないと思われた.
今回,われわれは,BEAT-TL®が融合による診断情報の増加および関心領域(region of interest: ROI)の設定の自由度や指標算出の簡便性の点で従来のものより優れ,定量性や再現性が高いことの認識から,MR fusion Tl-SPECT(MR-F群)とnon-fusion Tl-SPECT(NF群)を比較することで,MR fusion Tl-SPECT画像の有用性および定量性について検討した.
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