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日本人が忘れていた勇気と感動
著者: 松前光紀1
所属機関: 1東海大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.195 - P.196
文献購入ページに移動チェックインしてテレビをつけると,ほとんどのチャンネルは同時多発テロに関するドキュメンタリー番組であった.すべての航空機を緊急着陸させた航空管制システム,大量の航空機が緊急着陸した地方空港の混乱,ブッシュ・プーチン両大統領のホットライン会談,犠牲者の家族のその後など,多彩な番組が放映されていた.その中でもクローズアップされていたのは,事件発生直後真っ先に救出に駆けつけたニューヨーク市消防局の消防士達が見せた勇敢な活躍であった.倒壊した世界貿易センタービルで亡くなった消防士は343名で,同ビルでの犠牲者全体の1割を少し上回る数である.犠牲となった消防士が出動した分署,残骸の中に残された消防車などに焦点をあて,おのおのの局が工夫を凝らしドキュメンタリー番組を作成,事件発生後6年経過した今も放送していた.昔から,消防士はアメリカの子供にとって身近な存在であり,憧れの職業であった.彼ら消防士が見せた勇気と感動はアメリカ人の誇りであり,決して風化することなく語り継がれることであろう.
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