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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科36巻6号

2008年06月発行

文献概要

コラム:医事法の扉

第26回 「民事鑑定」

著者: 福永篤志1 河瀬斌1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.557 - P.557

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 「鑑定」は,前回の「証人尋問」と同じく,人を証拠方法とする証拠調べの1つです.民事と刑事の両方に導入されている訴訟手続ですが,今回は,民事鑑定についてとりあげます.

 「鑑定に必要な学識経験を有する者は,鑑定をする義務を負う」と規定され(民事訴訟法212条第1項),裁判所に指定されてしまうと(213条),鑑定義務を負うこととなります(もっとも,証人と違って代替性がありますから,鑑定を強制されることはありませんし,実際は,裁判所書記官から連絡があり,鑑定を受諾するかどうかについて打診があります).手続きとしては,当事者が裁判所に鑑定の申出とともに鑑定事項を書面で提出し(民事訴訟法規則129条1項),裁判所から指名された鑑定人は,宣誓を行い意見を述べます(131条1項,132条1項).また,宣誓書と意見書を提出する方法によっても代用できるとされています(131条2項,132条2項)が,対立が厳しい場合は,法廷で意見を述べることが求められます.鑑定人が口頭で意見を述べる時には,証人尋問の時と異なり,裁判長,鑑定申出当事者,他の当事者の順に質問を受けます(民事訴訟法215条の2第1項,2項).また,鑑定人が遠隔地にいるときにはテレビ会議の方法を利用することもできます(215条の3).鑑定人は,裁判所と交信可能なテレビ会議装置が設置されている場所に出頭すれば,裁判所に出頭する必要はありません(同規則132条の5).なお,証人尋問と同様,正当な理由なく出頭あるいは鑑定を拒絶した場合には,10万円以下の罰金又は拘留に処せられますが(民事訴訟法216条,193条),証人と異なり,勾引を命ぜられることはありません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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