Neurological Surgery 脳神経外科36巻7号

2008年07月発行

書評

『神経解剖集中講義』―寺本　明，山下　俊一●監訳，秋野　公造，太組　一朗●訳

著者： 松村明¹

所属機関： ¹筑波大学脳神経外科学教授

ページ範囲：P.638 - P.638

　このたび，寺本　明先生・山下俊一先生・監訳，秋野公造先生・太組一朗先生・訳による『神経解剖集中講義（High-Yield Neuroanatomy, 3rd edition, by James D. Fix, Ph.D.）』の訳本が出版された．本書の原題でまず目を引くのが“High-Yield”という言葉であるが，訳本では“集中講義”となっており，翻訳にあたっての工夫が感じられる．“High-Yield”とは，直訳すれば高収益，高利益，高収率といった意味があるが，本書はまさにそのような著者の哲学がふんだんに盛り込まれている．実際に内容を拝見すると単なる神経解剖書とは異なり，解剖図譜，MRI画像，CT画像などがふんだんに盛り込まれており，臨床に即した実用的な記載になっている．

　さらには疾患の画像や疾患の病態の説明が随所に盛り込まれており，基礎的な神経解剖と実際の疾患の結びつきが一気に学習できるように工夫されている，まさに“High-Yield”，もしくは“集中講義”といった表現がぴったりとあてはまる好書である．